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「レク式体力チェック」は新潟県レクリエーション協会で考案した、男女問わずシニア、ユース、ジュニア世代で適用し、「いつでも・だれでも・簡単に」実施することが出来る体力テストです。
平成24年度文部科学省の委託事業として「高齢者体力つくり支援事業」が実施され、その事業の重要なプログラムとしてレク式体力チェックが取り入れられています。
自分に合った運動、スポーツ・レクリエーション活動を始めるためには、自分の体力をしっかり把握することが大切です。また、自分の体力を知ることで自分の身体への関心が高まり、運動やスポーツ・レクリエーション活動を生活の中に取り入れる大きな動機づけにもなります。ここでは、レク式体力チェックの考え方を紹介いたします。
レク式体力チェックには様々な種目があります。
ここでは、いくつかの種目における評価の目的と日常生活への波及効果についてご紹介します。
① 着座体前屈
股関節や体幹の柔軟性を評価します。この評価が下がってくるとしなやかな動きが失われ、動きが硬くなり、けがをしやすくなります。また、腰痛や膝関節症の原因ともなります。
② 10m障害物歩行
敏捷性と足首の柔軟性、動きを調整する能力を測定します。この評価が下がってくると、とっさのときに対応できず、転倒しやすくなります。また、足が上がらなくなって、つまずきやすくなります。
③ ファンクショナルリーチ
下肢と体幹でバランスよくからだを支える能力を評価します。この評価が下がってくると、よい姿勢を維持できなくなり、バランスを崩して転倒しやすくなります。
④ タオル絞り
上半身の筋力、具体的には握力と腕、腕を使って押す力を評価します。この評価が下がってくると、転倒時などに身を守る能力が低下します。さらに下がると、ペットボトルのフタが開けられないなど、日常生活に支障をきたすことになります。
⑤ ストロー
呼吸機能を評価するものです。この評価が下がってくると、ちょっと歩くだけで息切れがするなど、活発な日常生活ができず、スタミナが切れやすくなります。さらに下がってくると、やがて寝たきり状態に陥ることになります。
⑥ 2ステップ
下肢、体幹の筋力、バランス、柔軟性などの総合的な体力を評価します。この評価が下がってくると、姿勢が悪くなり、歩行能力が低下し、転倒の危険性が増してきます。
各種の運動種目を継続することでその後のレク式体力チェックの結果にも変化が見られようになります。
ここでは、「スラックライン」、「ポールウォーキング」、「ニューエルダー元気塾」を継続して行った場合の体力チェックの変化をご紹介します。
レク式体力チェック種目(シニア)
① 柔軟性
着座体前屈 股関節や体幹の柔軟性
② 敏捷性
10m障害物歩行 敏捷性、調整力、足首の柔軟性
③ 平衡性
ファンクショナルリーチ 下肢と体幹とでバランスよくからだを支える機能
④ 筋 力
タオル絞り 握力・腕や体幹の筋力
⑤ 肺機能
ストロー 呼吸・肺機能
⑥ 総合力
2ステップ 下肢や体幹の筋力、バランス、柔軟性などの総合的な体力
レク式体力チェック種目(ユース)
① 着座体前屈(全年齢対象)
② リズムステップ 敏捷性・柔軟性
◎軽くジャンプして体の前で①左足先を右手でタッチ、②右足先を左手でタッチ、体の後ろで③左足先を右手でタッチ、④右足先を左手でタッチ、これを10秒間繰り返しタッチした回数を点数として記録する。
③ 閉眼5m歩行(全年齢対象)平行性・股関節・身体の歪み
◎スタートラインから10cm幅のラインの上を普通の速度で歩き、ラインから完全に外れた歩数を点数として記録する。
④ タオル絞り(全年齢対象)
⑤ ストロー(全年齢対象)
⑥ ヒップウォーク 筋力・柔軟性・総合力
◎長座姿勢で腕組の姿勢でスタートラインに位置し、ヒップを左右交互に浮かせながら2m前進したタイムを計測する。
レク式体力チェック種目(ジュニア)
① 着座体前屈(全年齢対象)
② 動物走 敏捷性・柔軟性・巧緻性
◎スタートラインに四つ這いで位置し、そのまま四つ這いで10m走りタイムを計測する。
③ 棒バランス(全年齢対象) 平行性
◎両足を肩幅に開き、聞き手の肘を90度に曲げて、手のひらにチャレンジ・ザ・ゲームのスティックを立て、スタートの合図で支えていた手を離して棒をキープできた時間を計測する。その際、スタートの合図後は、棒をキープするために手の角度が変わることや、足を動かすことがあってもかまわない。
④ タオル絞り(全年齢対象)
⑤ ストロー(全年齢対象)
⑥ 背走 総合力
◎スタートラインに後ろ向きに立ち、そのまま後ろ向きでゴールに向かって走りタイムを計測する。
レク式体力チェック種目(個別) 例
① 着座体前屈(全年齢対象)
② ボトル巻上げ(全年齢対象)敏捷性・瞬発力
◎棒から1mのロープで繋がれた1kgのウェイトを、棒の両端を持って床と水平に腕を伸ばし、ボトルを浮かせ、スタートの合図で棒にロープを巻きつけながらウェイトを巻き上げるまでの時間を計測する。
③ 開眼両足立 平行性
◎きき足を前に一直線上に後ろ足をつけて立ち、スタートの合図でその姿勢が維持できた時間を計測する。
④ タオル絞り(全年齢対象)
⑤ ストロー(全年齢対象)
⑥ 大豆つまみ(能活)
1枚の皿に10個の大豆を入れ、その大豆をスタートの合図で30cm離れたもう一方の皿へ割り箸(スプーン・素手)を使って移す時間を計測する。
*レク式体力チェックハンドブックには30種類以上の種目が掲載されています。主催者で種目を決定する際は、対象者・会場・目的等のねらいを絞って決めることが大切です。
レク式体力チェック(幼児期)
幼児の運動能力チェックには以下のものがあります。
① 四つ這い背走
四つ這いの姿勢でスタートラインに手を合わせ、スタートの合図で四つ這いのまま3m後走します。ゴールラインに手がつくまでの時間を計測します。
② 一本道
10cm幅で5mのラインの上を踏み外さないように走り、時間を計測します。1歩踏み外す毎に、0.5秒プラスします。
③ 連続跳越
20cm間隔で置かれたプレートを踏まないように両足で跳んでゴールするまでの時間を計測します。プレートを踏んだら0.5秒プラスします。
④ ボールキャッチ
幼児と3m離れ、真ん中に高さ1.55mのネット(バドミントンネット)を張ります。ネット(バドミントンネット)の上を通してボールを投げ、両手で抱え込むようにキャッチさせます。5球投げて判定します。
⑤ ボール投げ
(1mおきに置いてある)マトに向かってできるだけ遠くにボールを投げて、その距離を測定します。3球投げて測定します。
⑥ スイング走
4m離れたところにマトを置き、幼児に棒を持たさせて中央のスタートラインに立たせます。左右のマトを棒で叩いてゴールするまでの時間を計ります。
この6種目を上記の①~⑥の順にストーリー性を設け、幼児が楽しく実施できるように工夫して取り組んでいきます。また、継続して実施する際には、季節に応じたストーリーを設定するなどの工夫をしていきます。
各種目の結果については、継続的なデータ管理のために当協会が作成したパソコンソフトで評価・分析を行うことをお薦めします。個人のデータを指導に生かすことはもちろん、全体の傾向にも着眼し健康・体力づくりや運動あそびのプログラムの工夫や改善に役立ててください。
認定講習会とともに、この機会に是非ご検討ください。